みるりあるの海外サッカーレビュー

海外サッカーの試合を観戦した感想、分析等

欧州王者アッズーリ衝撃の敗退

はじめに

今回は国としては一番好きなイタリアのワールドカッププレーオフの結果、試合を見て思ったことを書きたいと思います。普段は各クラブの試合ばかり見ていて、インターナショナルウィークでのそれぞれの国の試合についてはあまり楽しみにしていない、見ていないのですが(理由としては試合のレベルが低いことが多いと感じていることです)今回については2大会ぶりのワールドカップ出場を目指していたイタリアに怪しい空気が流れているなと感じ、なんとなく怖かったためリアルタイムで観戦しました。結果に関しては本当に失望、喪失感を感じていますが思ったことを書きたいと思います。

普段は対戦する両チームそれぞれについてある程度触れていますが、今回の試合は北マケドニアの普段について知らないことが多すぎるので今回はイタリアにのみ触れたいと思います。

 

試合結果

    イタリア      北マケドニア
0 1
得点者
  トライコフスキ(後半47分)
   

スタメンについて

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この試合のイタリア代表はDFラインに欠場者が多く、昨年のEUROの基本スタメンが全員欠場となりおそらく初めての組み合わせで臨んだのではないかと思います。ディロレンツォが不動の右SBはフロレンツィ、スピナッツォーラが長期離脱中の左SBはエメルソン、長らく君臨してきたボヌッチキエッリーニが不在のCBにはバストーニとマンチーニの若手コンビを起用してきました。両SBについては普段から代役を担うことの多い2人が起用されたため、ある程度想定内でした。一方両CBは少し意外だったと思います。普段の招集メンバーとしては前述の重鎮2人(ボヌッチキエッリーニ)、アチェルビ、バストーニといった4人の組み合わせが多く、この中で負傷者が出た場合はマンチーニやルガーニなどが招集されてきた印象があります。基本の4人を見るとわかりますが4人中3人が左利きで普段クラブでは左のCBを担当することが多い選手たちです。そのため今回重鎮の2人が欠場と判明した時にはアチェルビとバストーニのコンビでどちらが不慣れな右を担当するかが注目ポイントだったと思います。しかし実際に起用されたのは左にバストーニ、右にはローマのマンチーニでした。これについては最近のローマでの好調具合とこれまでの招集機会で十分にこの大舞台を任せることができるとマンチーニ監督が判断したために起用したと考えられます。個人的には右のSBはミランで今季素晴らしい活躍をしているカラブリアの起用がタイプ的にも良いと考えていましたがこれまでの活動で招集機会が少なかったことが影響したのか招集外だったことが残念でした。

続いて中盤ですがここは不動のスタメン3人が起用されました。マンチーニ監督はアンカーのジョルジーニョインサイドハーフのバレッラ、ヴェラッティの3人にケガや出場停止がなければ優先して起用してきたためいつも通りの組み合わせだったと言えます。しかし個人的には去年と比べると最近は調子を落としているジョルジーニョ疲労の蓄積により最近の試合では体が重そうなバレッラの起用は少し不安でした。ですが彼らの代役候補筆頭のロカテッリが直前にコロナ陽性となってしまったためにこの3人で臨むしかなかったのかと思います。ミランのトナーリに関しては素晴らしいタレントですが代表での実績不足とマンチーニ監督は判断したのだと思います。(個人的には今シーズンの出来的には現イタリアNo.1の選手だと思いますが)

最後に前線の3枚ですが予想通り、無難な選択、他に選択肢がないといったところでしょうか。左WGのインシーニェは不動、右WGはキエーザが不在のためベラルディ一択、CFは他に安心して起用できる存在がいないためにインモービレ、おそらく多くの方の予想通りだったと思います。結果的にはキエーザの不在が大きく響いてしまったと言わざるを得ない形になってしまいましたが仕方のないことです。

試合の流れについて

大方の予想通りイタリアがボールを保持して押し込み、北マケドニアが耐えるといった展開でした。この構図は90分を通して変化することなく、北マケドニアがボールを保持する時間も多少はありましたがカウンターでゴールを脅かすといった場面はなく、失点シーンもピンチというよりは決めたトライコフスキを賞賛するべきだと思います。(寄せが少し甘い、ドンナルンマが本調子ならといった声も上がってはいますが)

とにかくこの試合はほとんどの時間で押し込みながら得点を奪うことができなかったこと、そこに尽きます。特に交代で途中から出場したアタッカー陣がまったくと言っていいほど効果的な働きができなかったことが大きいと思います。これにはマンチーニ監督の意図がわかりにくい采配も大きく影響していたと思います。最初の交代は60分頃のインシーニェ→ラスパドーリ。これについては理解できます。あまり効果的な働きができていなかったインシーニェを下げて左からの攻撃を活性化したという意図は感じられました。

しかし75分過ぎに行った2回目の交代の意図が私はあまりわかりませんでした。最近の疲労が影響していたのか動きが重かったバレッラに替えてトナーリの投入。これについては同じ中盤同士、少しタイプの違う中盤を投入し試合を動かすという狙いがわかりましたが、私が謎に感じたのはもう1枚同時に投入したペッレグリーニについてです。インモービレに代わって投入されたペッレグリーニは左のWGに入り、それまで左WGにいたラスパドーリをCFに変更しました。ペッレグリーニについては最近のローマで衝撃的なフリーキックを決めるなど調子が良かったのでしょうが普段の役割としてはWGではなく、中盤と私は記憶していました(普段からローマの試合を頻繁に見ているわけではないためWGを担当することもあったかもしれませんが)。とにかく1点が必要と見てセットプレーのキッカーとして投入したという見方もありますが、同時投入のトナーリやベラルディでもその役割はこなせると個人的には思います。なによりWGとして、攻撃的なカードとしてペッレグリーニというのは効果的とは思えませんでしたし、実際にタッチ数も多くなく、何かをもたらしたとは思えませんでした。

さらにその後の交代で秘密兵器のジョアン・ペドロを投入しましたが時間は89分。これまで1度も起用したことのないジョアン・ペドロの起用に躊躇したためもしくは延長を睨んでのことだと思いますがその時間まで起用することができないほど信頼していない選手をなぜ呼んだか、なぜ起用したのか疑問が残りました。さらにこの交代により投入時点では左WG、10分後にCF、その10分後に今度は右WGにポジションを移したラスパドーリに何を求めていたのか、10分毎にポジションが代わっては試合に入ることも効果的な働きをするのも難しいでしょう。

この試合については試合の流れを変えるため、1点を取るためのマンチーニの采配(スタメン、交代、招集選手すべてにおいて)に非常に疑問が残りました。バロテッリほどの起爆剤を招集、起用しろとは思わないですがこれまで継続的に招集してきた1発を持っているスカマッカやザニオーロのベンチ外など結果論にはなってしまいますがなぜという疑問が多く残る試合となってしまいました。

これまで特にEUROまではマンチーニのチーム作り、采配は評価できるものでしたがEURO以降は何か上手くいかない感がイタリア代表チームに漂ってしまっていた。明確ではない目に見えないものですが敗退の理由はそこにあるかと思います。

キエーザやスピナッツォーラの長期離脱、ボヌッチやディロレンツォの負傷、ロカテッリのコロナなどマンチーニ監督に同情できる部分はありますが、欧州王者であり、世界的な強豪国、前回大会予選での敗退からの復活、何よりホームの大観衆の前で敗れてしまっては言い訳は許されない、これに尽きます。

 

MOM

北マケドニア

得点を決めたトライコフスキは素晴らしいですが試合を通じてイタリアに得点を許さず、我慢し続け1発を確実に仕留めた北マケドニア代表全体がMOMといえるでしょう。現北マケドニアで最も名前が知られているエルマスを出場停止で欠きながらもチーム全体として素晴らしい試合を披露したと言えます。次の相手はポルトガルですが、もしポルトガルをも撃破した場合はサッカー史にも残るほどの快挙と言えるでしょう。(個人的にはさすがにポルトガルに勝利してほしいですが)

 

WORST

イタリア

2大会連続での予選敗退となったイタリア代表全体です。EUROでの出来は素晴らしかったですが、サッカー界では結果がすべてで敗退してしまったということは言い訳の余地はありません。衝撃とともに残念でしかないです。

 

今後のイタリア

2大会連続でW杯本戦出場を逃すという衝撃的な結果となってしまったイタリア代表ですが今後について個人的な意見を述べたいと思います。

まず監督のマンチーニの進退についてですが、協会は続投、本人は辞任の意思があるということで今後両者で話し合いが行われ、決定すると見られています。メディアでは公認候補としてカンナバーロピルロといった名前が挙がっているとのことです。ですが私個人としては続投がいいと考えています。

理由は2つ。まず1つ目としてマンチーニに代わってイタリアを強くできる次のW杯出場に導ける監督が見当たらないことです。前回大会の予選で敗退し、新監督としてマンチーニに任せた時点でマンチーニでダメなら誰でもダメだろうといった風潮があったと思います。マンチーニ以外に立て直し、再建ができそうな人物が見当たらない、これは4年経過した今も変わらない事実だと思います。イタリア全体が今回も敗退するとは思っていなかったでしょう。後任としてマンチーニ以上の結果を出せる監督、現実的に指揮できる監督はイタリア人ではいないと思います。正直この状況を変えることができるイタリア人はアントニオ・コンテだけだと思いますが彼はトッテナムの指揮官に就任したばかりでイタリア代表を再び指揮するのは現実的ではないでしょう。またメディアから名前が挙がっているカンナバーロピルロは現状のイタリア代表を任せるには経験不足、力不足と言わざると得ないでしょう。後任にふさわしい人物がいない、これがマンチーニ続投を支持する理由の一つです。

マンチーニ続投の2つ目の理由ですが、マンチーニのチーム作り、再建は決して間違っていないことです。着任後多くの若手を招集し、可能性を広げ、既存戦力との融合に成功させ、EUROを制覇した。これは事実であり、マンチーニの大きな功績です。おそらく代表から引退を表明する選手、年齢的に次のW杯は厳しいため戦力外とされる選手は多少なりともいるでしょう。チーム作りはやり直しとなるかもしれませんがマンチーニのチーム作りの仕方、これについては間違っていなかったと考えています。

次に選手についてですが自ら引退を表明する選手、年齢的に戦力外とされる選手は少なくないと考えます。前者であれば重鎮CBのボヌッチキエッリーニアチェルビや今回の敗退にかなりの責任を感じているであろうジョルジーニョなどです。後者としてはフロレンツィ、ヴェラッティ、来期のMLS移籍が決定済みのインシーニェ、代表ではほとんど結果の残せなかったインモービレなどです。これらの選手については前回の予選敗退の経験者でもあり、今回のW杯にかける思いは強かったはずですが残念な結果となってしまい、おそらく身を引くあるいは戦力外とされる選手が多いと思います。戦力外とされなくても長くて次のEUROまで、W杯には厳しい選手が多いと思います。

それらを受けて中心となるであろう選手をポジション別にみるとGKは変わらずドンナルンマ、CBでは今回の招集メンバーであるバストーニ、マンチーニ、L・フェリペ、SBはカラブリアやスピナッツォーラ。中盤はタレントが豊富なためジョルジーニョヴェラッティがいなくなっても大きな問題とはならないでしょう。トナーリやバレッラ、ロカテッリはさらなる成長が見込めるため、中盤は盤石、中盤のメンバー構成を中心にチームを作るべきでしょう。前線ではキエーザが中心となることを期待し、スカマッカやラスパドーリなどの若手を中心に今後もタレントが出てきてくれることが期待できます。

現代表に呼ばれていない中にもタレントは多く、若手も少なくないため、半分ほど入れ替わっても不思議ではないくらい現在のイタリアはタレントが豊富だと個人的には考えています。

今後はさらに過去にとらわれず、世代交代、イタリア全体の強化を行いつつ、次のW杯こそ本戦に出場してくれることを願っています。