きじ

海外サッカーの試合を観戦した感想、分析等

エル・クラシコ

はじめに

今回は全世界が注目する伝統のクラシコ観戦の感想、分析を書いていきたいと思います。数年前までは世界で最も注目される試合だったクラシコですが近年は両クラブの衰退が進み、注目度が下がってしまい残念でなりません。前回対戦ではレアルの完勝、バルセロナの完成度の低さが目立ってしまう結果となってしまいました。しかし今回はシャビ就任後のバルセロナの復調が目立つ中での伝統の一戦となりました。結果は当初の予想外となりましたが、試合の流れやそれぞれの狙いについて書いていきたいと思います。

 

試合結果

 レアル・マドリード   バルセロナ
0 4
得点者
  オーバメヤン(前半29分)
  アラウホ(前半38分)
  F・トーレス(後半2分)
  オーバメヤン(後半6分)

基本フォーメーション

 

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ホームのレアルはエースのベンゼマ、普段は左SBでスタメンのメンディが欠場となってしまったため、基本フォーメーションとしてはモドリッチをファルソ・ヌエベ(偽9番)に置いた4-3-3と表現するのが正しいかと思います。ただ試合中はCFがいない4-2-4や中盤ダイヤモンドの4-4-2(2は外に開いたまま)のような形となることが多く、その時その時の選手のアドリブによって変化することが多かったと感じました。(試合中の選手のアドリブが多いのはいつもですが)

一方アウェイのバルサはいつもフォーメーションはいつも通り、予想通りの4-3-3。しかしおそらくほとんどの方は右SBはアウベスのスタメンを予想していたと思います。私も右SBがアウベスでなくアラウホが起用されたことにはかなり驚きました。他ポジションで注目されていたのは右WGかと思いますがここには最近好調のデンベレが起用されました。ただ正直右SB以外は予想の範囲内、普段通りの配置だったと思います。

レアルについて

レアルのこの試合はとにかくハマらない。この一言で済む試合だったと言えます。

エースで戦術的にも重要であり替えの利かない存在であるベンゼマの不在が大きく響いた結果となってしまったと言えます。ベンゼマが不在ということでアンチェロッティがどんな選択をするかは試合前から様々な予想がされていましたが結果として選んだのはCFを置かない布陣でした。表記としてはメディア毎に異なり、人によって場合によって変化していたため一概にこのフォーメーションで臨んだと定義するのは難しいですが個人的にはモドリッチをファルソ・ヌエベとした4-3-3または中盤ダイヤモンドの4-4-2(2はウイングとして外に開く)とするのがいいかと思います。私が見た限りは4-2-4-0と表記しているメディアもありました。表記が何であれこれらに共通していえるのはCFが不在ということです。ここ数年レアルにはベンゼマ以外に信頼できるCFが不在で何らかの理由でベンゼマが欠場する時はイスコのファルソ・ヌエベなどで乗り切ってきました。今回アンチェロッティが選択したのはモドリッチのファルソ・ヌエベでした。ただこれは通常のファルソ・ヌエベと異なり本当に相手CBの前に誰も配置しないという完全な0トップであったと思います。

正直これについてはまったくハマらなかった。相手CBのピケとE・ガルシアに効果的にプレスがかからないためパスコースを上手く消せない、中盤に人がいるだけで肝心のブスケツが消せない、プレスに行ってもスライドが追いつかずスペースを埋められないなど問題が多く発生していました。立ち上がり10分はレアルが気合を入れて入ったためシステム云々の話はなく勢いはレアルにありましたがゲームが落ち着き始めてからはこのシステムが付け焼刃であることが露呈し、残りの80分は完全にバルサペースでした。

前半が上手くいかなかったことからハーフタイムにアンチェロッティはてこ入れし、選手とシステムを替えてきましたがこれについてもまったくハマらず何がしたかったかよくわからないままゲームに決着がついてしまいました。

またもう一つの主力不在ポジションであった左SBについてはナチョを起用していましたが対峙するデンベレを止められず、ストレスを与えることもできていませんでした。個人的には最近好調のデンベレを考えればナチョよりは対人能力が高く安定感のあるアラバを左に起用し、ナチョをCBに起用したほうが結果論にはなってしまいますがこのゲームに関してはよかったかなと思います。ただここに関してはこの試合に限らず最近のデンベレの好調具合を考えると誰を起用しても大差はなかったかなとも感じましたが。

とにかくレアルについては主力(特にベンゼマ)の不在に対するアンチェロッティの采配が一つもハマらなかった、これに尽きます。

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バルサについて

まあ強かったですね。危ない場面もほぼなく得点以上にチャンスも多く、正直マニータまでいってほしかったというのが本音です。

主力で不在の選手はいなく、ほぼ自由に選手を起用することが可能だったため、今までの試合を踏まえたベストメンバーをシャビは選択することができました。注目されていたのは右WGにデンベレとトラオレのどちらを起用するかでした。結果的にシャビはデンベレを起用してきましたがここ最近の調子の良さ、持っている能力をこの試合でも存分に発揮していました。対峙したナチョに1対1で止められる場面もなく、ほとんど仕事をさせませんでした。4点目が入り、ゲームが落ち着いてからは明らかにスイッチが切れた場面も見られましたが、それまではかなりいい働きをしていたと言えます。この出来が継続して見られるのであればぜひ契約延長してほしいものです。

バルセロナのスタメンの中で驚きだったのは右SBにアラウホを起用してきたことです。これまで重要なゲームでは一貫してD・アウベスを右SBに起用してきたため今回もD・アウベスの起用を予想していた人も多いでしょうし、私も無難にD・アウベスで来ると考えていました。しかしこの采配はかなり当たったと言えるでしょう。わかりやすくレアルの左WGヴィニシウスに対人能力が高いアラウホを対峙させるということを狙っていたとは思いますが私はそれに加えて、この起用にはもう一つ狙いがあったと考えています。

それはE・ガルシアをCBに起用することです。最近のバルセロナは従来のブスケツに加えて右SBのD・アウベスをビルドアップに参加させ、起点をふたつにしていたことで相手のプレスに対する逃げ道を作っていました。それによりブスケツの負担減、プレス回避をより楽に行うようにしていました。ですがこの試合ではD・アウベスを起用しなかったことで起点が減ることを懸念していましたが、それを解決したのがE・ガルシアでした。E・ガルシアはビルドアップ能力が高く、ベンゼマが不在な中で中途半端なプレスを仕掛けてくるレアルに対し、中央からオバメヤンやペドリらに縦パスを通すことができるE・ガルシアがいたことでバルセロナは停滞することなくボールを効果的に循環させることができていました。普段通りのアラウホをCBに、D・アウベスを右SBに起用していたとすればD・アウベスとヴィニシウスの1対1ができてしまうだけでなくバルセロナの中ではビルドアップ能力に不安のあるアラウホがレアルの中途半端なプレスのターゲットにされてしまう危険性がありました。このふたつを同時に解決したのがアラウホの右SB、E・ガルシアの起用でした。まさにシャビ采配的中といったとこでしょう。

 

試合の流れ

試合の流れについてですが結果から見てわかるように終始バルセロナが圧倒していたと言えます。

まず立ち上がりの10分ですがその時間帯だけはレアルの狙い通りだったと言えます。勝ち点差がある中での対決となったため、ふわっとした立ち上がりになることが懸念されたレアルですがやはりベテランが多く、やるべきことがわかっている選手が多いためその懸念を振り払うかのようにかなりの圧力、パワーを持って試合に入ってきました。それが影響し、立ち上がりはレアルが主導権を握ったように思え、バルセロナは少しバタバタしていました。

しかし時間の経過とともに試合は落ち着き、徐々にバルセロナの狙い通りの展開になっていきました。レアルのいつも通りでないプレスに上手く対応し、ブスケツ、E・ガルシアを中心にテンポよくビルドアップしていきました。中盤から前がいつも通りの形でないレアルに対し、デ・ヨングとペドリがレアルの中盤に捕まらない絶妙な位置を取り続けたました。さらに右WGのデンベレが内、外自在にポジションを取り、ナチョに1対1を仕掛けつつビルドアップに参加するなどかなりの貢献度でした。この出来をこの試合に限らず毎試合見せてほしいものです(来シーズンも継続して)。

前半に2点取れたこともかなり大きかったです。前半を優位に進められたのはもちろんですが、ハーフタイムにレアルに戦術、システム変更を強いることができたからです。前半2点のビハインドを背負い、いつもと違うシステムと人選が上手くハマらなかったことから巻き返そうとさらに手を加え、ほとんど試したことがない3バックにして後半に入りましたがとにかく混乱していたと思います。やはりほとんど試したことがないシステムにするのは15分と短いハーフタイムでは足りなかったと言わざるを得ません。その証拠に誰が誰を見るかまったく整理されていなかったためにプレスがかからず、バルセロナにいいようにされて早々にとどめを刺されてしまいました。またそこから慌てて4バックに戻したことからレアルの慌てっぷり、アンチェロッティの迷走ぶりが顕著になってしまいました。

4点差がついてからはどちらも無理をする必要がなくなったため、試合のトーンがかなり落ちてしまいました。しかしバルセロナはシャビ監督を筆頭にさらに点を取りに行く姿勢を見せてはいましたがそれでも前半同様の圧力はかけれず、特に何も起きず静かにフェードアウトしていきました。

試合を通してバルセロナの調子の良さ、気合の入り方とレアルのハマらなさが目立ちました。この試合の出来を全試合で披露することができればリーガでは敵なしと言えるでしょう。さすがにそれは不可能ですがシャビが来たことによるバルセロナ復権を予感させる試合となりました。来シーズンがさらに楽しみです。

 

MOM

オーバメヤン

さすがにこの試合はこの人以外いないでしょう。

2ゴール1アシストで他にもチャンスの演出、プレス等ほぼ完璧と言っていいパフォーマンスだったと思います。一つ文句があるとすれば序盤のチャンスをものにしていればハットトリックも可能だったということくらいでしょう。

レアル側から見れば序盤に起きたファウルでレッドカードの対象だったという主張もあるかと思います。レアル贔屓の記事ではあの場面は大きく取り上げられるでしょう。

ただクラシコデビューとなったオーバメヤンの出来は素晴らしかったの一言です。

WORST

アンチェロッティ

采配がすべて裏目に出たと言えます。

バルサの好調具合、ベンゼマの欠場等不運な要素はありましたがスタートの配置、後半開始時の布陣変更、交代選手での流れを変える試みにおいてすべてが思惑通りに進まなかったと言えます。

試合後の会見で選手に謝罪済みということを自ら話したことでメディアからの余計な追及はされませんでしたが、CLでもし敗退済みなどすでにしていた場合は即解任となってもおかしくない試合だったでしょう。

 

とりあえず自己紹介

はじめに

皆様、初めまして。

みるりあると申します。

 

この記事を開いた、読んでいる方は私のような誰だかよくわからない人物のよくわからない記事を開くくらい物好きな人だと思っています。

この記事は誰にあてたわけでもなく、後で私自身が見返すわけでもないですがとりあえず最初の記事なので自己紹介でもと思い書き始めました。

まず私自身についてですが特に何もなくただの仕事が嫌いな普通の社会人です。

もともと小学生からサッカーを始め、大学まで自分でプレーしていましたが特にこれといった成績もなくその辺に普通にいる下手くそプレーヤーでした。海外サッカーを見始めたのはペップバルサの時代からです。正直思い出補正満載ですがあの時代のバルサが今でも史上最強のチームだと考えています。見始めということもありましたがあのペップバルサほど世界のサッカーに影響を与えたチームは今までで存在しないと思っています。

これから可能な限り海外サッカーの試合を見た感想、分析を記者の真似事として記録していこうと思っています。おそらく週3~5くらいの投稿になると考えています。

継続して読んでいただける物好きな海外サッカーファンの方々、よろしくお願いいたします。

他の趣味として漫画、漫画原作のアニメ、マーベル、乃木坂、ポケモンランクマなど多数あります。特にポケモンランクマについてはそこそこガチでやっていますのでいい成績が出た時は構築について書くかもしれないです。

 

海外サッカー観戦の記録をつける理由

これはシンプルです。一人で観戦してそれを分析してどういう試合だったか整理するため、言語化してみようと思ったからです。

普段海外サッカーを見ていて、それを共有するリア友も多くはないですし、海外サッカーファンを見つけるのはなかなか難しい。ということで観戦した試合がどういった試合だったかをアウトプットする場というのはあまりないというのを感じていました。だったら自分で記録を残して自分で満足できる場を作ればいいかと思い、記事を書き始めることにしました。

あとは単純に自己満足のため、ただ、それだけです。

 

観戦しているリーグ、チーム

現在私が加入しているのはDAZN、あとはCL用にWOWOWに入っています。

そのため観戦しているリーグとしてはプレミアリーグセリエAラ・リーガ、CLです。その中で主に見ているのはプレミアとセリエAかと思います。私自身どこかのクラブを1つ推しているというわけではなく、その時好きなチームまたは注目試合やビッグクラブ同士の試合を見るという感じの観戦スタイルです。

といいつつ好きなクラブはユベントス、好きな国はイタリアということで一応好きなチームはありますが、常にユベントスの試合をチェックしているわけではなく、観戦スタイルの定義はよく自分でもよくわかっていない状態です。

よく見るチームは今シーズンだとマンチェスター・C、アーセナルユベントスミランバルセロナあたりです。こんな感じで結構アバウトに範囲広めで海外サッカーを楽しんでいます。

 

好みのスタイル、選手

これまた観戦スタイルと同様ですが私自身結構あいまいだと思っています。

ざっくり定義するなら強いチーム。これに尽きます。基本はポゼッションで相手を押し込むチームが好きですがそれが強い、勝てるとは限らないのがサッカーのおもしろいところですし、現代フットボールではスタイルを一つに定義するのはとても難しいところです。

好きな選手についてははっきりしています。元イタリア代表アンドレア・ピルロです。

もう引退した選手ですでに監督経験もある人物ですがピルロがNo.1なのは私の中で一生不変でしょう。次点でシャビ、イニエスタあたりですかね。これだけで私の海外サッカー観戦歴と年齢が大体わかってしまいそうですがこのあたりが好きでした。

現役での一番はホイビュア(トッテナム)ですかね。チアゴ・アルカンタラリバプール)、カイル・ウォーカーマンチェスター・C)、トナーリ(ACミラン)あたりが好きですかね。これを見ただけでもどういう選手が好きか伝わると思いますし正直かなり渋いチョイスだと思っています。

 

おわりに

とりあえず投稿1本目ということで軽く自己紹介をさせていただきました。

これからどのくらいの投稿頻度でどのくらい続くかわかりませんが、自分の自己満足のためなので無理せず、見た試合については基本的に書いていきたいと考えていますので読んでいただけるのであればよろしくお願いします。

最初のほうに投稿する記事は記事を書き始めようと思い、メモを取っていたもののなかなかレイアウトなどをどうすればいいか考えていたら時間が経ってしまった試合を連続で投稿したいと思います。

読んでいただきありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。

 

欧州王者アッズーリ衝撃の敗退

はじめに

今回は国としては一番好きなイタリアのワールドカッププレーオフの結果、試合を見て思ったことを書きたいと思います。普段は各クラブの試合ばかり見ていて、インターナショナルウィークでのそれぞれの国の試合についてはあまり楽しみにしていない、見ていないのですが(理由としては試合のレベルが低いことが多いと感じていることです)今回については2大会ぶりのワールドカップ出場を目指していたイタリアに怪しい空気が流れているなと感じ、なんとなく怖かったためリアルタイムで観戦しました。結果に関しては本当に失望、喪失感を感じていますが思ったことを書きたいと思います。

普段は対戦する両チームそれぞれについてある程度触れていますが、今回の試合は北マケドニアの普段について知らないことが多すぎるので今回はイタリアにのみ触れたいと思います。

 

試合結果

    イタリア      北マケドニア
0 1
得点者
  トライコフスキ(後半47分)
   

スタメンについて

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この試合のイタリア代表はDFラインに欠場者が多く、昨年のEUROの基本スタメンが全員欠場となりおそらく初めての組み合わせで臨んだのではないかと思います。ディロレンツォが不動の右SBはフロレンツィ、スピナッツォーラが長期離脱中の左SBはエメルソン、長らく君臨してきたボヌッチキエッリーニが不在のCBにはバストーニとマンチーニの若手コンビを起用してきました。両SBについては普段から代役を担うことの多い2人が起用されたため、ある程度想定内でした。一方両CBは少し意外だったと思います。普段の招集メンバーとしては前述の重鎮2人(ボヌッチキエッリーニ)、アチェルビ、バストーニといった4人の組み合わせが多く、この中で負傷者が出た場合はマンチーニやルガーニなどが招集されてきた印象があります。基本の4人を見るとわかりますが4人中3人が左利きで普段クラブでは左のCBを担当することが多い選手たちです。そのため今回重鎮の2人が欠場と判明した時にはアチェルビとバストーニのコンビでどちらが不慣れな右を担当するかが注目ポイントだったと思います。しかし実際に起用されたのは左にバストーニ、右にはローマのマンチーニでした。これについては最近のローマでの好調具合とこれまでの招集機会で十分にこの大舞台を任せることができるとマンチーニ監督が判断したために起用したと考えられます。個人的には右のSBはミランで今季素晴らしい活躍をしているカラブリアの起用がタイプ的にも良いと考えていましたがこれまでの活動で招集機会が少なかったことが影響したのか招集外だったことが残念でした。

続いて中盤ですがここは不動のスタメン3人が起用されました。マンチーニ監督はアンカーのジョルジーニョインサイドハーフのバレッラ、ヴェラッティの3人にケガや出場停止がなければ優先して起用してきたためいつも通りの組み合わせだったと言えます。しかし個人的には去年と比べると最近は調子を落としているジョルジーニョ疲労の蓄積により最近の試合では体が重そうなバレッラの起用は少し不安でした。ですが彼らの代役候補筆頭のロカテッリが直前にコロナ陽性となってしまったためにこの3人で臨むしかなかったのかと思います。ミランのトナーリに関しては素晴らしいタレントですが代表での実績不足とマンチーニ監督は判断したのだと思います。(個人的には今シーズンの出来的には現イタリアNo.1の選手だと思いますが)

最後に前線の3枚ですが予想通り、無難な選択、他に選択肢がないといったところでしょうか。左WGのインシーニェは不動、右WGはキエーザが不在のためベラルディ一択、CFは他に安心して起用できる存在がいないためにインモービレ、おそらく多くの方の予想通りだったと思います。結果的にはキエーザの不在が大きく響いてしまったと言わざるを得ない形になってしまいましたが仕方のないことです。

試合の流れについて

大方の予想通りイタリアがボールを保持して押し込み、北マケドニアが耐えるといった展開でした。この構図は90分を通して変化することなく、北マケドニアがボールを保持する時間も多少はありましたがカウンターでゴールを脅かすといった場面はなく、失点シーンもピンチというよりは決めたトライコフスキを賞賛するべきだと思います。(寄せが少し甘い、ドンナルンマが本調子ならといった声も上がってはいますが)

とにかくこの試合はほとんどの時間で押し込みながら得点を奪うことができなかったこと、そこに尽きます。特に交代で途中から出場したアタッカー陣がまったくと言っていいほど効果的な働きができなかったことが大きいと思います。これにはマンチーニ監督の意図がわかりにくい采配も大きく影響していたと思います。最初の交代は60分頃のインシーニェ→ラスパドーリ。これについては理解できます。あまり効果的な働きができていなかったインシーニェを下げて左からの攻撃を活性化したという意図は感じられました。

しかし75分過ぎに行った2回目の交代の意図が私はあまりわかりませんでした。最近の疲労が影響していたのか動きが重かったバレッラに替えてトナーリの投入。これについては同じ中盤同士、少しタイプの違う中盤を投入し試合を動かすという狙いがわかりましたが、私が謎に感じたのはもう1枚同時に投入したペッレグリーニについてです。インモービレに代わって投入されたペッレグリーニは左のWGに入り、それまで左WGにいたラスパドーリをCFに変更しました。ペッレグリーニについては最近のローマで衝撃的なフリーキックを決めるなど調子が良かったのでしょうが普段の役割としてはWGではなく、中盤と私は記憶していました(普段からローマの試合を頻繁に見ているわけではないためWGを担当することもあったかもしれませんが)。とにかく1点が必要と見てセットプレーのキッカーとして投入したという見方もありますが、同時投入のトナーリやベラルディでもその役割はこなせると個人的には思います。なによりWGとして、攻撃的なカードとしてペッレグリーニというのは効果的とは思えませんでしたし、実際にタッチ数も多くなく、何かをもたらしたとは思えませんでした。

さらにその後の交代で秘密兵器のジョアン・ペドロを投入しましたが時間は89分。これまで1度も起用したことのないジョアン・ペドロの起用に躊躇したためもしくは延長を睨んでのことだと思いますがその時間まで起用することができないほど信頼していない選手をなぜ呼んだか、なぜ起用したのか疑問が残りました。さらにこの交代により投入時点では左WG、10分後にCF、その10分後に今度は右WGにポジションを移したラスパドーリに何を求めていたのか、10分毎にポジションが代わっては試合に入ることも効果的な働きをするのも難しいでしょう。

この試合については試合の流れを変えるため、1点を取るためのマンチーニの采配(スタメン、交代、招集選手すべてにおいて)に非常に疑問が残りました。バロテッリほどの起爆剤を招集、起用しろとは思わないですがこれまで継続的に招集してきた1発を持っているスカマッカやザニオーロのベンチ外など結果論にはなってしまいますがなぜという疑問が多く残る試合となってしまいました。

これまで特にEUROまではマンチーニのチーム作り、采配は評価できるものでしたがEURO以降は何か上手くいかない感がイタリア代表チームに漂ってしまっていた。明確ではない目に見えないものですが敗退の理由はそこにあるかと思います。

キエーザやスピナッツォーラの長期離脱、ボヌッチやディロレンツォの負傷、ロカテッリのコロナなどマンチーニ監督に同情できる部分はありますが、欧州王者であり、世界的な強豪国、前回大会予選での敗退からの復活、何よりホームの大観衆の前で敗れてしまっては言い訳は許されない、これに尽きます。

 

MOM

北マケドニア

得点を決めたトライコフスキは素晴らしいですが試合を通じてイタリアに得点を許さず、我慢し続け1発を確実に仕留めた北マケドニア代表全体がMOMといえるでしょう。現北マケドニアで最も名前が知られているエルマスを出場停止で欠きながらもチーム全体として素晴らしい試合を披露したと言えます。次の相手はポルトガルですが、もしポルトガルをも撃破した場合はサッカー史にも残るほどの快挙と言えるでしょう。(個人的にはさすがにポルトガルに勝利してほしいですが)

 

WORST

イタリア

2大会連続での予選敗退となったイタリア代表全体です。EUROでの出来は素晴らしかったですが、サッカー界では結果がすべてで敗退してしまったということは言い訳の余地はありません。衝撃とともに残念でしかないです。

 

今後のイタリア

2大会連続でW杯本戦出場を逃すという衝撃的な結果となってしまったイタリア代表ですが今後について個人的な意見を述べたいと思います。

まず監督のマンチーニの進退についてですが、協会は続投、本人は辞任の意思があるということで今後両者で話し合いが行われ、決定すると見られています。メディアでは公認候補としてカンナバーロピルロといった名前が挙がっているとのことです。ですが私個人としては続投がいいと考えています。

理由は2つ。まず1つ目としてマンチーニに代わってイタリアを強くできる次のW杯出場に導ける監督が見当たらないことです。前回大会の予選で敗退し、新監督としてマンチーニに任せた時点でマンチーニでダメなら誰でもダメだろうといった風潮があったと思います。マンチーニ以外に立て直し、再建ができそうな人物が見当たらない、これは4年経過した今も変わらない事実だと思います。イタリア全体が今回も敗退するとは思っていなかったでしょう。後任としてマンチーニ以上の結果を出せる監督、現実的に指揮できる監督はイタリア人ではいないと思います。正直この状況を変えることができるイタリア人はアントニオ・コンテだけだと思いますが彼はトッテナムの指揮官に就任したばかりでイタリア代表を再び指揮するのは現実的ではないでしょう。またメディアから名前が挙がっているカンナバーロピルロは現状のイタリア代表を任せるには経験不足、力不足と言わざると得ないでしょう。後任にふさわしい人物がいない、これがマンチーニ続投を支持する理由の一つです。

マンチーニ続投の2つ目の理由ですが、マンチーニのチーム作り、再建は決して間違っていないことです。着任後多くの若手を招集し、可能性を広げ、既存戦力との融合に成功させ、EUROを制覇した。これは事実であり、マンチーニの大きな功績です。おそらく代表から引退を表明する選手、年齢的に次のW杯は厳しいため戦力外とされる選手は多少なりともいるでしょう。チーム作りはやり直しとなるかもしれませんがマンチーニのチーム作りの仕方、これについては間違っていなかったと考えています。

次に選手についてですが自ら引退を表明する選手、年齢的に戦力外とされる選手は少なくないと考えます。前者であれば重鎮CBのボヌッチキエッリーニアチェルビや今回の敗退にかなりの責任を感じているであろうジョルジーニョなどです。後者としてはフロレンツィ、ヴェラッティ、来期のMLS移籍が決定済みのインシーニェ、代表ではほとんど結果の残せなかったインモービレなどです。これらの選手については前回の予選敗退の経験者でもあり、今回のW杯にかける思いは強かったはずですが残念な結果となってしまい、おそらく身を引くあるいは戦力外とされる選手が多いと思います。戦力外とされなくても長くて次のEUROまで、W杯には厳しい選手が多いと思います。

それらを受けて中心となるであろう選手をポジション別にみるとGKは変わらずドンナルンマ、CBでは今回の招集メンバーであるバストーニ、マンチーニ、L・フェリペ、SBはカラブリアやスピナッツォーラ。中盤はタレントが豊富なためジョルジーニョヴェラッティがいなくなっても大きな問題とはならないでしょう。トナーリやバレッラ、ロカテッリはさらなる成長が見込めるため、中盤は盤石、中盤のメンバー構成を中心にチームを作るべきでしょう。前線ではキエーザが中心となることを期待し、スカマッカやラスパドーリなどの若手を中心に今後もタレントが出てきてくれることが期待できます。

現代表に呼ばれていない中にもタレントは多く、若手も少なくないため、半分ほど入れ替わっても不思議ではないくらい現在のイタリアはタレントが豊富だと個人的には考えています。

今後はさらに過去にとらわれず、世代交代、イタリア全体の強化を行いつつ、次のW杯こそ本戦に出場してくれることを願っています。